行雲流水

禅僧(禅宗のお坊さん)が綴る発想の種。旅は、私に大きな影響与えてくれました。 旅は、今の私を形作る糧となりました。 旅は、仏教徒として、禅僧として今を生きる私の大事な一部となりました。

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イギリス留学生活:離れていくホストファミリーとの距離【旅の記録18】

自称、日本好きのホストファミリー。ただしそこにズレを感じる私。日本観もそうですが、他にもズレを感じた出来事がありました。それが私の中で壁を作る出来事となってしまいました。

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イギリス留学カンタベリー編⑨ 噛みあわない「ズレ」

 ある日、宗教の話になってホストファミリーは、こう言いました。

 「私は神を信じない。私の宗教は、言ってみれば自然だ。自然に敬意を払っている。日本人だって自然を信じているだろ?」

 アニミズム? それとも神道のことを指しているのかな?  と考える私。それはそれでいいのですが、問題はその先。私は応えました。

「私は自然も大切に思ってますが、仏教徒ですよ」

仏教? そういやブッタって太ってるよな?」

「……まぁ。イメージ的にはそうですが、痩せている仏像なんかもありますよ」

「いやいや、ちょっと待ってろ」

 と言って、ホストファミリーは戸棚からなにやら図鑑をひっぱりだしてくる。そして見せてきたページは、日本の文化がイラストで書かれているページ。もちろん、英語で書かれた図鑑でした。

 「ほら! みろ! 太ってんじゃないか!? お前が間違ってんだろ! はっは~」

 「いやいや、確かに図鑑はそうだけど、もっと他にもいっぱいお釈迦さんの話はあるんですよ。例えば……

と私は必死になって英語で説明を試みるのですが……

 「違う! 違う! 図鑑はこう書いてるじゃないか! ほらな! はっは~」

「いやだから、こんな話もあって……

と騒がしくなったので、家族の人に止められました。

 この時、私もさすがに少しムッっとしました。私の事なのに、なんでこっちの話を全く聞き入れてくれないんだ。自分の日本のイメージをおしつけるんじゃねぇ。そう心の中で思いました。

 でもそれ以上に、ムカッとした出来事がありました。

 それは毎週水曜日にいっていた、クリスチャン学生の勉強会についてです。毎週水曜日は夜でかける私。ある日どこに行っているのか尋ねられました。

 私はクリスチャンの学生さんと知り合って、その人達の勉強会に行っている。もちろん、仏教徒であることも向こうは承知している。宗教学を学んでいたので、他のいろんな宗教を見てみたい。それに相手はカンタベリーにあるあの大学の学生さん。等々、理由を説明しました。

 しかし、「本当にそれは大丈夫なんだろうな?」問い詰められます。私も大丈夫と必至に説明するのですが、どこか納得のいかない様子。どうやら、「行くな」と言いたいようです。「神は信じない」って言葉が私の頭をよぎりました。

 友達とパブに行ったり、夜間も事情さえ説明すれば、外出はOK。それは留学生の自主性に任されています。行動に制限をかけられる必要はない。だから直接「行くな」とは言わないのだろう……

私は思いました。

自分のイメージを押し付けてくるあなたと違って……。強制しようとするあなたと違って……。耳を貸さないあなたと違って……。学生さんは、一生懸命に私の言葉に耳を傾けてくれる。学生さんは、自分の教えを他人に強制しない。学生さんは、お互いに理解しようとしてくれている。

 どうしてここで引くことができようか……。ここだけは譲れないと私は無言を貫きました。しかし向こうも譲らない。結局、平行線のまま、話は終わりました。

この件をきっかけに、私の中で壁ができました。事務的に考えようというか、クールになろうというか。なんていうんですかね。ただの仮住まい。こうして私は、ホストファミリーとは、少し距離を置くようになってしまいました。


つづく……