パリ・モンパルナス駅からTGV(高速鉄道)に乗って約2時間のレンヌ駅。
そこからバスを乗り継ぎやってきたのは、あの有名な世界遺産。
ヨーロッパ鉄道周遊の旅② フランス編モン・サン・ミシェル
カトリックの巡礼地としても有名なモン・サン・ミシェル
島の真ん中に見えるのが修道院。昔は、潮の満ち引きで陸地と島が完全に分断していたようです。
ちなみに今は島と陸地をつなぐ橋があります。橋といっても陸と島を繋ぐ「道」です。そのため土砂が堆積して、今ではほとんど陸地になっています。干潮の差が激しいので土砂の移動も早いのでしょうね。
島の中に入ると、「人!人!人!」の人だらけ。
人による大渋滞で前に行くのも一苦労。
渋滞の原因は修道院まで登っていけばわかります。
なぜなら、上に向かえば向かうほど路地が狭くなっているから。しかも入口から上の修道院までほぼ一本道。そりゃあ入口から渋滞しますよね……。
さすがに混雑の中で写真を撮るのは嫌。ということで、早朝の人のいない時間帯を狙って撮った写真がこちら。
雰囲気は抜群です。こんな道が修道院まで続いています。でも、昼間になると、ここにギュウギュウ詰めになるほどの人が押し寄せます。
修道院も見学することができます。
その昔、陸と島を結ぶ橋がありませんでした。干潮の差が激しい為、多くの巡礼者が潮に飲み込まれ亡くなったと言われています。
ちなみに干潮時なら、海(?)の浅瀬の部分を歩くこともできます。
しかし、この浅瀬の部分も時期によっては本当に海の下になります。(満潮時の写真がないので参考までに)
また、この修道院は監獄として使われていた時代もあったそうです。
そりゃあ、潮が満ちたら海に囲まれるわけだから監獄としても使えそう。監獄と修道院。同じ建物でも使い方次第で、コロっとその性格は変わってしまいますね。
名物オムレツ
モン・サン=ミッシェルには名物のオムレツがあります。折角なのでガイドブックに名物と書かれていたオムレツを食べることにしました。
名物と言われるほどのオムレツ。さぞ、おいしいのだろうと期待を膨らませ、お店に入りました。多少値段は張りますが、そこは名物。仕方ありません。
お店に入って注文。しばらくすると、楽しみにしたオムレツが参上しました。
「クリーミーでボリュームもありそう!」
と思い、ナイフ入れたら……
”スカっ”
「あれ? 中身、泡だけ!?」
そうです。よくよく調べてみると、わかりました。名物のオムレツは、卵をかき混ぜて作った泡オムレツだったのです。
その昔、食糧不足だった修道院。せめて気分だけでもお腹を満たそうとして作ったのが、このオムレツのはじまり。なにかと有名な話らしいです。
思い込み
「名物=おいしい」と思い込んでいた私には衝撃的でした。まさか、この世にがっかりさせられる名物があるとは思いもしませんでした。まぁ知らなかった私が悪いんですが……。こんなに期待を裏切られた食べ物は初めてでした。
思い込みって怖いものです。自分の思っているものと現実が違う。自分の頭の中と現実とのズレから、これだけがっかりするわけです。
自分が思い込んでいた「名物がおいしい」という常識が覆る。それは、確かに「なんだこれは!?」と思う出来事でした。しかし、周りはちゃんと、泡のオムレツというのは、常識として知っている。実は自分が思い込みで勝手に決めつけていただけ。
きっとイギリス生活にも、そういうズレがあったのでしょう。自分の頭の中の常識と現実のイギリス生活とのズレ。日本とイギリスではまた、常識もちがうわけです。そのズレの一つ一つが、自分の苦しみに繋がっていたのかもしれません。
勝手に決めつけて、勝手にイラっとして、落ち込んだわけです。実はイギリスでも同じことをしていたのかもしれない。
そう思えるようになったの、まだ先の話。ですが、このオムレツでの経験もきっと無関係ではないはずです。
つづく……